堀江 薫(HORIE, Kaoru)
|
研究テーマ
- 言語類型論と認知言語学の融合的研究(「認知類型論(Cognitive Typology)」)
- 言語類型論・認知類型論・対照言語学の観点から見た日本語の文法・語彙現象の記述研究および日本語教育・外国語教育への応用言語学的研究
- 認知類型論および語用論の観点から見た日本語・韓国語の文法・語彙構造、文法化、言語接触現象の対照研究
- 言語類型論・認知言語学と第二言語習得研究の融合的研究(「応用認知類型論的研究(Applied Cognitive Typology)」)
学生へのメッセージ
日本語の研究および外国人に対する日本語教育には、世界の言語の中で日本語がどのような構造的(形態・統語・音韻)的特徴を持っているかという知識が不可欠です。また、他言語と比べた場合、日本語を用いたコミュニケーション行動にはどのような語用論的・社会言語学的特徴、「発想(認知スタイル)」上の特徴があるかを理解することも非常に重要です。私は17年間にわたって東北大学で、日本語の構造的・語用論的特徴を、韓国語、中国語、モンゴル語、ベトナム語、クメール語、マラーティー語などのアジア言語や、英語をはじめとするヨーロッパ言語、アフリカの言語など類型論的に様々な相違点・類似点のある言語との対比を通じて明らかにし、日本語教育の実践に生かしてきました。その経験を踏まえ、応用言語学講座では、皆さんとともに日本語の構造(文法・語彙)、運用(語用論)・習得過程、効果的教育法に関する対照言語学的、言語類型論的、認知類型論的研究を行い、これまで十分に解明されてこなかった日本語の興味深い特徴を明らかにしていきたいと願っています。
|
奥田 智樹(OKUDA, Tomoki)
| 研究テーマ - 統語論と意味論を融合する言語現象へのアプローチ
- 言語における主観性の問題統語論と意味論を融合する言語現象へのアプローチ
学生へのメッセージ
言語研究は常に個々の言語事実を出発点としなければならず、言語理論とはあくまでも個々の言語事実から帰納的に考えられた仮説に過ぎません。つまり、いかなる優れた言語理論であっても個々の言語事実を演繹的に導き出せるものはないのです。その点が、言語理論が自然科学の理論のような厳密性や包括性を持ち得ない理由だと言えます。従って、私たちが言語理論を学ぶ際には、必ずその特質や限界についての批判的な目を持ち、その理論の提唱者の言うことについて、どこまで自分に妥協せず納得できるかを厳しく吟味する必要があると思います。私が授業で扱っている文法化理論は、私が自分なりの厳しい目で見てこれなら納得できると思えたはじめての言語理論であり、皆さんが言語について深く考える上での確固とした視座になり得ることを確信しています。ですが、皆さんにはぜひ皆さんご自身の目でこの理論を厳しく見つめ直していただき、授業中はどしどしご意見やご批判をいただきたいと思っています。そうした過程を通じて、お互いに刺激し合い、高め合っていけることを切に願っています。
個人のホームページ http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/staff/okuda.html |
秋田 喜美(AKITA, Kimi)
|
研究テーマ
- 認知・機能言語学
- オノマトペの言語学
- 移動表現の類型論
学生へのメッセージ
世界は面白い言語現象で溢れています。皆さんの中には、それらを書き留める習慣をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか? 私自身も、学部時代から書き溜めているメモがノート500ページほどになりました。その中には、論文まで発展したメモもいくつかあります。例えば、「舞は胸がドキドキしていた」の「胸が」はなくても文が成立する一方で(○舞はドキドキしていた)、「舞は頭がズキズキしていた」の「頭が」は必須(×舞はズキズキしていた)、というのは、私が修士1年生の時に走り書きした何気ないメモでしたが、このメモは暫く経った2010年に1本の論文となりました。このように素朴な疑問や興味を一人前の研究へと育て上げる方法を、皆さんと一緒に学んでいきたいと考えています。特に、1)どのようにして言語学の仮説を立て、どのようにしてそれを検証するか、という「方法論」と、2)言語についても、研究テーマについても、理論についても、できる限り排他的にならず広く見渡そう、という「多角的な視点」に重点を置きたいと思います。大学には毎日のようにおりますので、たくさんお話しましょう!
|
志波 彩子(SHIBA, Ayako)
|
研究テーマ
- ヴォイスをめぐる通時的・対照言語学的研究
- 動詞構文論
- コーパスを用いた日本語とスペイン語の記述研究
学生へのメッセージ
高校時代メキシコに留学し,スペイン語を習得する過程で逆に日本語の美しさを感じ,日本語教師を志して大学に入りました。しかし,卒業論文の執筆を通して,言語現象の中に潜む一般法則を見つけることの楽しさに目覚め,2年間のブラジルにおける日本語教育の後に大学院に入り,本格的に研究を始めました。現在は,主にコーパスを用いて抽出した用例を,その意味・構造的なパターン(構文)によってタイプ分けし,記述するという研究を中心に行っています。コーパスの活用は日本語教育の現場でも非常に有用と考えています。また,研究対象は主に現代語の共時態ですが,現代語は歴史的な流れの中の一つの局面に過ぎず,歴史的な体系の発展に矛盾するものであってはならないという思いから,近代語,近世語にも目を向けるようになりました。同時にスペイン語との対照研究も進めています。このように,通時的,また対照言語学的にあらゆる角度から現代日本語を見つめ,考えて行きたいと思っています。
| |
|